見掛け
みかけ
名詞
標準
文例 · 用例
それといふのが、まるで詩では食へぬと云ふ時に、詩で食へてはならぬといふやうな面構へを時折見掛けるから云ふのである。
— 中原中也 『よもやまの話』 青空文庫
その庭といふのはその後数回築き直されたにも拘らず、その忠魂塔の台石となつた石だけは殆んどその位置を変へず、そしてその忠魂塔も、私が後に出郷してからも、帰省した時には見掛けたやうに思ふが、七八年前帰省した頃から、それは姿を消した。
— ――世の母びと達に捧ぐ―― 『一つの境涯』 青空文庫
そのとき、たったいちどだけ、私はW君を見掛けて、それが二十年後のいまになっても、まるで、ちゃんと天然色写真にとって置いたみたいに、映像がぼやけずに胸に残って在るのである。
— 太宰治 『酒ぎらい』 青空文庫
十八歳の夏休みに東京へ遊びに来て尾張町のI家に厄介になっていた頃、銀座通りを馬車で通る赤服の岩谷天狗松平氏を見掛けた記憶がある。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
これに反して日本出来のは見掛けのニッケル鍍金などに無用な骨を折って、使用の方からは根本的な、油の漏れないという事の注意さえ忘れている。
— 寺田寅彦 『石油ランプ』 青空文庫
「それから、犯人をどこかで見掛けたといふやうな者は?
— ――スウェーデンの殺人鬼―― 『死の接吻』 青空文庫
……源助、実は年上のお前を見掛けて、ちと話があるがな。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
私も、毎日門外まで一同を連出すんだが、七日前にも二日こっちも、ついぞ、そんな娘を見掛けた事はない。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫