幻辞.com

酒神

しゅしん
名詞
1
標準
文例 · 用例
でも、先生も飽くまでも村に対しての有情を重んじ、その日は国境ひの丘までも彼を見送つて、別れを惜んで下された由などを聞いて、小生も心から彼の出世を祝福し、そして、あの小生の机の上にいつも載つてゐる Pax の酒神の御像にひれ伏して先生と彼との、健康を祈りました。
牧野信一 附「歌へる日まで」 青空文庫
しかし我々は、彼らの手からその武器を奪う大いなる酒神の姿を何処で見たか。
横光利一 黙示のページ 青空文庫
嘘を蹴落す存在から、もし文学が嘘を加護する守神となって現れたとき、かの大いなる酒神は世紀の祭殿に輝き出すであろう。
横光利一 黙示のページ 青空文庫
大いなる酒神は、かの愚な時計の振り子の如く終始末期を連続しつつ反動する文化を、美しく平和の歴史の殿堂に奉納するであろう。
横光利一 黙示のページ 青空文庫
」「まあ、さうなんだけれど――オリシスといふ若者は酒神を信仰し過ぎて、オリンピアの学芸競技に落第して……」「何なのよ、それは?
牧野信一 黄昏の堤 青空文庫
更に法律は、犯人に如何なる口実があらうとも裁判に問ふべき余地をも許さず、従令それがデイオニソス酒神の祝祭日であらうとも断じて彼を釈放せしめなかつた。
牧野信一 ベツコウ蜂 青空文庫
で私は酒に酔ふと稍ともすれば声を挙げて、大昔の酒神頌歌者や哀歌詩人に依つて詠まれた愉快な歌を口にして、余も亦彼等の如く一切の生命を酒と竪琴楽に托して、夢も現もなべて明るく歌ひ暮したいものであるが――などゝいふ嘆息を洩らすのであります。
牧野信一 歌へる日まで 青空文庫
* 斯のやうに私は、その生活を歌のために踏みにぢられ、悲惨な目に遇ひながらも飽かずに往古の哀歌詩人の上を想ひ、羨んでゐたところが、近く私は、村長の頼みに依つて、登場歌――合唱歌――哀悼歌――の三部より成る酒神頌歌を創ることになつたのであります。
牧野信一 歌へる日まで 青空文庫