迸
迸
名詞
標準
文例 · 用例
迸出の新鮮さといふ点からいふも、美の美しさといふ点からいふも、彼女の詩は後世が呼んで『純粋状態』の詩といふものに該当してゐる。
— 中原中也 『デボルド―※ルモオル』 青空文庫
その熔岩は、シャスタの南麓から迸ったのであるが、ちょっと富士山から、桂川に沿うて猿橋まで達しているところの「猿橋熔岩」に似ている。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
足の甲からはさッと鮮血が迸った。
— 葉山嘉樹 『牢獄の半日』 青空文庫
その時その永遠なる底の深みから、強過ぎる、焔が迸り出るので、己達は驚いて立ち止まる。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
スクリュウに捲き上げられ沸騰し飛散する騒騒の迸沫は、海水の黒の中で、鷲のように鮮やかに感ぜられ、ひろい澪は、大きい螺旋がはじけたように、幾重にも細かい柔軟の波線をひろげている。
— 太宰治 『佐渡』 青空文庫
彼と、一緒に歩哨に立っていて、夕方、不意に、胸から血潮を迸ばしらして、倒れた男もあった。
— 黒島伝治 『渦巻ける烏の群』 青空文庫
次にチョッキの隠袋から、何か小さなものを出して、火縄でそれに点火したのを、手早く筒口から投げ入れると、半秒足らずくらいの後に、爆然と煙が迸り出て、鈍い爆音が聞える。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
だんだん目が馴れて来ると弾が上がって行く途中の経路を明瞭に認める事が出来る、そして破裂する時に、先ず一方へ閃光のように迸り出る火焔も見え、外被が両分して飛び分れるところも明らかに見る事が出来る。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫