稲荷鮨
いなりずし
名詞
標準
文例 · 用例
ちっとでも自分にだらしがないところが眼につくと、自分で不安なのだ」「何だか知らないが、欲しいものがあったら、遠慮なくいくらでもそうお云いよ」 初午の日には稲荷鮨など取寄せて、母子のような寛ぎ方で食べたりした。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
托鉢しなければならないのであるが、どうも気がすゝまない、M店でコツプ酒一杯ひつかけて、H店で稲荷鮨十ばかり借りて来て休養、読書、思索。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
油揚を買ふ、揚豆腐は田舎料理にはなくてはならぬものである、稲荷鮨のころもとしても、煮物の味付としても。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
そうして油揚の胴を干瓢で結えた稲荷鮨の恰好に似たものを、上から下へ落した。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫
日頃顔を見知った八百屋夫婦も、本町から市町の方へ曲ろうとする角のあたりに陣取って青い顔の亭主と肥った内儀とが互に片肌抜で、稲荷鮨を漬けたり、海苔巻を作ったりした。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫
その佐野の旧い宿場を出はずれる時が丁度十一時であったので其処で稲荷鮨を買って提げたが、程なく土ぼこりの立つ道を歩き歩き喰べて行った。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
鍋焼饂飩と稲荷鮨 霜夜の鐘の凍るばかりに音冴えて、都の巷に人影のいよいよ疎なる時、折々の按摩が流しの笛につれて、遠くより聞え来るもの、「鍋焼ァき饂飩※、え饂飩やァい――」と、「稲荷ァりさん、え、いなァりさん――」の声なるべし。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
稲荷鮨は元来がおこんこ様好み。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫