歯軋り
はぎしり
名詞
標準
文例 · 用例
たまたまその子口あきて、 楊の梢に見とるれば、元信斎は歯軋りて、 石を発止と投げつくる。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
いかに女は嫌いとはいえ、いやそれだけに一層鼾や歯軋りが恥じられて、気になる余りまんじりともせず、無性に疳を立てながら、やがて明け方の薄ら明りにふと眼をやれば、楓の寝顔は白粉が剥げて、鼻の横筋など油が浮き、いっそ醜い。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
いきなり、豹一はぎりぎり歯軋りし、その絵を破ってしまった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
昨夜の寝不足がたたって、えらい疲れて歯軋りして寝てる、そんなことを夢うつつに意識しながら、一時間ばかり眼をつむったり、人の跫音で眼を覚したりしていたが、いきなりこんな呑気なことをしてられへんと欠伸をして、立ち上った。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
歯軋りもできないままやめることになった僕は、その時、なんとしてもこの世界で自分の道を発見しようと考えた。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
所で、君はいま、胎龍が三月許り誰にも遇わなかったと云ったね」と尤もらしい歯軋りをして、まるで夢見るように、視線を宙に馳せた。
— 小栗虫太郎 『後光殺人事件』 青空文庫
もう何時だろうと室の中を見廻すと四隣はしんとしてただ聞えるものは柱時計と細君のいびきと遠方で下女の歯軋りをする音のみである。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
この下女は人から歯軋りをすると云われるといつでもこれを否定する女である。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫