田面
でんめん
名詞
標準
文例 · 用例
朝霧ゆふ霧のまぎれに、声のみ洩らして過ぎゆくもをかしく、更けたる枕に鐘の音きこえて、月すむ田面に落らんかげ思ひやるも哀れ深しや。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
田面に水あふれ、林影|倒に映れり」十二月二日――「今朝霜、雪のごとく朝日にきらめきてみごとなり。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
稲が刈り取られて林の影が倒さに田面に映るころとなると、大根畑の盛りで、大根がそろそろ抜かれて、あちらこちらの水溜めまたは小さな流れのほとりで洗われるようになると、野は麦の新芽で青々となってくる。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
空よく晴れて朝風やゝ肌寒く露の小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先おおかた黄ばみたる田面を見渡す。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
ふと頭を上げて外を見ると、田面の闇を、螢が光の線を引いて飛んだ。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
涼風が稻の頭を波立たせながら、田面を低く渡つて行く。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫
刈かけし田面の鶴や里の秋岩村田町に着いた時はもう三時、もりそばを味はひ銘酒を味つた。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫
田面の氷もようやく融けて、彼岸の種|蒔きも始まって、背戸の桃もそろそろ笑い出した頃になると、次郎左衛門はそわそわして落ち着かなくなった。
— 岡本綺堂 『籠釣瓶』 青空文庫