曲中
きょくちゅう
名詞
標準
文例 · 用例
それは、セロの曲中に出て来る急速なアルペジオをひくのに、弦から弦と弓を手早く移動させるために手首をいろいろな角度に屈曲させる。
— 寺田寅彦 『「手首」の問題』 青空文庫
母上も我も亦曲中の人となりぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
曲中には間何の縁故もなき曲より取りたる、可笑しき節々を高く、作譜者と姫とは之に連れて歌ひたるが、忽ち旨し/\、場びらきの樂は畢りぬ、いざ幕を開けよといふとき幕閉づ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
之に比べると、メーテルリンクの戯曲はさすが神秘的であつて、論文に云つてあることがその曲中にも活きて居るが、論文その物の思想は大底エメルソンとスヰデンボルグとから出て居るのである。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫
すなわち、倫理観を述べ、人生観をあらわし、社会組織を批判して、おのれの理想をこの大曲中に示したのであるから……。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
かりに、自分の境遇が、小説か戯曲中の人物に似ているとする場合だ。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
勸懲の劇を作らむとして、いたづらに人物をならべ、脚色を立てたるをこそ卑みもすべけれ、曲中人物の性格一々活動せる小天地想の作をば勸懲の旨ありとて斥くるものあらむや。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
その作の造化に似たるは、曲中の人物一々無意識界より生れいでゝ、おの/\その個想を具へたればなり。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫