慇
慇
名詞
標準
文例 · 用例
私は、いまこの井の頭公園の林の中で、一青年から頗る慇懃に煙草の火を求められた。
— 太宰治 『作家の手帖』 青空文庫
」と妻は慇懃にお辞儀をした。
— 太宰治 『薄明』 青空文庫
なるほど、バスの乗客の大部分はこの土地の人らしく、美しい姉妹に慇懃な会釈をする。
— 太宰治 『律子と貞子』 青空文庫
「實際あのひとの慇懃鄭重は、生れつきだつたらしい。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
もし若者であったら、帽を取って慇懃に問いたまえ。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
たった、ひとりで踊場にあらわれるレデーの香入りの天蓋の下で、僕は曲線のあるウィンクを感じながら、女性の罠と、慇懃な精神のむなさわぎを衝ける。
— 吉行エイスケ 『東京ロマンティック恋愛記』 青空文庫
私が慇懃に彼女に、 ――お祝いしますよ、アダ。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
室内の浮気な釦穴が、多数の男性によってつくられた鋳型のように、慇懃に籐椅子にもたれていた。
— 吉行エイスケ 『大阪万華鏡』 青空文庫