足幅
あしはば
名詞
標準
文例 · 用例
時の迅さに、人間の足幅が追いつかず、工合わるくエスカレーターに乗りでもしたように、とかく重心がのこって、足をさらわれ勝の生活ね。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
人間の足幅だけで、地べたを刻んでゆく旅行が再出現したとき、どのような「奥の細道」が創られるでしょう。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫
お家までとてもゆけないし、こっちなら電車が国分寺まで来るから、思い切って出て来たの、よかったわ、お会い出来て」 ほかに通る人のない道を、二人の女は五つの児の足幅にそって歩いて行った。
— 宮本百合子 『風知草』 青空文庫
六十歳とは見えない身の軽さで、雪を楽しんでいるかのように迅い足幅である。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
老人は例の気性で、なあにと首を振ってあるきつづけていたが、若い人たちとの足幅が一致しないので、お船蔵あたりから町駕へ乗った。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
疾風の勢いにある前髪の美少年は、そこに身を屈していた良平が眼に入らないのか、頭の上を踏ンづけるような足幅であった。
— 火の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
「何ッ」 口惜しげに、一つの顔が止まって振向いたが、「小僧は後にしろ」 と、連れがまた、同じ言葉を繰返して、ひたむきに先へ跳んで行く奔牛へ、足幅を跳ばし続けた。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
駕をになう小者の足幅はゆるやかになり、そして、家人らの声は微けく、そこここに映す灯影はやわらかい。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫