匹夫の勇
ひっぷのゆう
名詞
標準
rash courage
文例 · 用例
けれども私は、よほど頭がわるく、それにまた身のほど知らぬ自惚れもあり、人の制止も聞かばこそ、なに大丈夫、大丈夫だと匹夫の勇、泳げもせぬのに深潭に飛び込み、たちまち、あっぷあっぷ、眼もあてられぬ有様であった。
— 太宰治 『困惑の弁』 青空文庫
中には越中次郎兵衞盛次、上總五郎兵衞忠光、惡七兵衞景清なんど、名だたる剛者なきにあらねど、言はば之れ匹夫の勇にして、大勢に於て元より益する所なし。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫
けだし聖人君子高僧等より見れば、普通にわれわれの賞賛する武勇は猛獣の勇気に類したもので、孟子のいうところの匹夫の勇に過ぎぬ。
— 新渡戸稲造 『自警録』 青空文庫
かかる時代にはよしや動物性が混じ、匹夫の勇以上に昇らずとも、それが尊かった。
— 新渡戸稲造 『自警録』 青空文庫
しかして男子として褒むべきはこの種の勇を有したからで、国がやや進歩し、法律をもって善悪|曲直を判別する時代にいたっても、依然としてなお匹夫の勇が尊ばれ、男を褒むるに一匹の言葉をもってしたものであろう。
— 新渡戸稲造 『自警録』 青空文庫
勇気もこの階段に達すればもはや猛勇でなく、匹夫の勇でもない。
— 新渡戸稲造 『自警録』 青空文庫
今匹夫の勇を恃んで、世の胡慮を招かんより、無念を堪えて英気を養ひ以て時節を待つには如かじ」ト、事を分けたる文角が言葉に、実もと心に暁得りしものから。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
「じゃあ、船長……」「まあ、聞け」と虎船長は、制して、「だが、われわれは匹夫の勇をいましめなければならない」「えっ、いまさら、匹夫の勇などとは……」 若者連中は、匹夫の勇といわれて、おさまらない。
— 海野十三 『火薬船』 青空文庫
作例 · 標準
匹夫の勇では、この困難な状況を乗り越えることはできない。
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彼は思慮が浅く、ただ匹夫の勇を振りかざすばかりだ。
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冷静な判断力なくしては、匹夫の勇は単なる無謀に過ぎない。
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