後見役
こうけんやく
名詞
標準
文例 · 用例
伊勢屋の主人は五年まえに世を去って、今では後家のお豊がひとり息子の後見役でこの大きな店を踏まえているのであるから、彼女が飽くまで行者を信仰して、わが子の祈祷になんの故障もない限りは、ほかの奉公人どもが強いてそれをさえぎるわけには行かなかった。
— 女行者 『半七捕物帳』 青空文庫
自身が、家門の顔汚しのように思われていた昔の腹いせに、常陸の宮の女王を自身の娘たちの女房にしてやりたい、昔風なところはあるが気だてのよい後見役ができるであろうとこんなことを思って、時々私の宅へもおいでくだすったらいかがですか。
— 蓬生 『源氏物語』 青空文庫
御息所が生きていたならば、どんなにこうしたことをよろこぶことであろう、聡明な後見役として女御の母であるのに最も適した性格であったと源氏は故人が思い出されて、恋人としてばかりでなく、あの人を失ったことはこの世の損失であるとも源氏は思った。
— 絵合 『源氏物語』 青空文庫
乳母などという後見役の者も、この少年少女には幼い日からついた習慣があるのであるから、にわかに厳格に二人の間を隔てることはできないと大目に見ていたが、姫君は無邪気一方であっても、少年のほうの感情は進んでいて、いつの間にか情人の関係にまで到ったらしい。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
ただ母君の叔父の宰相の役を勤めていた人の娘で怜悧な女が不幸な境遇にいたのを捜し出して迎えた宰相の君というのは、字などもきれいに書き、落ち着いた後見役も勤められる人であったから、玉鬘が時々やむをえぬ男の手紙に返しをする代筆をさせていた。
— 蛍 『源氏物語』 青空文庫
「女御のあの後見役はたいしたものではあるまいと軽く見てかかった相手ですが、それが心の底の底までは見られないほどの深い所のある女でしたからね。
— 若菜(下) 『源氏物語』 青空文庫
」「いや、それもありますが、それに先立って、失礼ながら梢さんに果してそれだけの誠意があるか否かが問題なのであって、その見究めがつくまで、私も園田の後見役として、とくと梢さんのお心持なり態度なりを見届けなければならない立場にあるので。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
で、是非一つ後見役を叔父さんにお願ひしたいんだが……」「なあに、そんなに心配するがものはないやね。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫