藻塩
もしお
名詞
標準
seaweed salt
文例 · 用例
そうすると岸打つ波の音も、浜に寄った貝の色も、黙している磯の岩の顔も、死んだような藻塩木(藻塩を炊く木)の香も、みな尽く歓喜の美酒に酔い吉慶の頌歌を唱えて、愉々快々の空気に嘯くような相を現わすのである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
隠栖の場所は行平が「藻塩垂れつつ侘ぶと答へよ」と歌って住んでいた所に近くて、海岸からはややはいったあたりで、きわめて寂しい山の中である。
— 須磨 『源氏物語』 青空文庫
このたびは立ち別るとも藻塩焼く煙は同じ方になびかん と源氏が言うと、かきつめて海人の焼く藻の思ひにも今はかひなき恨みだにせじ とだけ言って、可憐なふうに泣いていて多くは言わないのであるが、源氏に時々答える言葉には情のこまやかさが見えた。
— 明石 『源氏物語』 青空文庫
この歌の心は、昔嶋田の時主てふ勇士が、霊有て人を悩ます石を射ると矢が石に立つて抜けず、撫子の花を開いたと藻塩草に出す。
— 南方熊楠 『きのふけふの草花』 青空文庫
あまの世をよそに聞かめや須磨の浦に藻塩垂れしもたれならなくに人世の無常さを味わい尽くしながらも、今日まで出家を実行しえない私を、あなたはどんなに冷淡になっておいでになってもさすがに回向の人数の中にはお入れくださるであろうと、頼みにされるところもあります。
— 若菜(下) 『源氏物語』 青空文庫
こんなにめめしく悲しんで自分は見苦しいとお思いになって、よくもお読みにならないで長く書かれた女王の手紙の横に、かきつめて見るもかひなし藻塩草同じ雲井の煙とをなれ とお書きになって、それも皆焼かせておしまいになった。
— まぼろし 『源氏物語』 青空文庫
歌と絵にほか見もしききもしなかった藻塩やく煙も朝夕軒の先に棚引いて居ては歌によむほどなつかしいものでもなかったし毎日藻塩木をひろいに来る海士の女も絵のように脛の白い黒い髪のしなやかな風をしたものは一人もなかった。
— 宮本百合子 『錦木』 青空文庫
蜑の釣り舟(小野篁――水鏡・今昔物語)わくらはに問ふ人あらば、須磨の浦に、藻塩垂れつゝわぶと答へよ(在原行平――古今集巻十八)小野篁・在原行平が、同情者に向つて物を言うてゐるのとは、別途に出てゐる。
— 後期王朝文学史 『女房文学から隠者文学へ』 青空文庫
作例 · 標準
この料理には、隠し味として藻塩が使われている。
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彼女はお土産に地元の藻塩を買って帰った。
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藻塩をかけた焼き魚は、香りが良くて美味しい。
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