已
已
名詞
標準
文例 · 用例
例えば、カ行四段動詞の已然形と命令形は、仮名で書けば両方とも同じ「け」でありますけれども、昔の万葉仮名では、別の類の文字で書いてあって、区別すべきでありますのに、龍麿はこの二つの形を同じと考えたものでありますから、多少例外が出来て、二つの類の仮名が混じて用いられているように見えたものもあります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
同じ四段の已然形にも、「ケ、へ、メ」の仮名が出て来ますが、これは命令形の「ケ、へ、メ」と同じ類のものは決して用いず、きっとこれと違った類のものを用いて、この二つの間にはっきりした区別があります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
この四段の已然形に用いるものを乙と名づけることとすれば、「ケ」の乙、「メ」の乙、「へ」の乙という類が認められるわけです。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
この「カ」「ハ」「マ」にかわる「ケ」「へ」「メ」は、いずれも乙の類に属するもので、四段已然形と同じ形であります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
四段の活用語尾の「カ、キ、ク、ケ」やカ変の活用語尾の「コ、キ、ク」が同じ行での段のちがいであると同様に、「ケ」の甲と「ケ」の乙とがカ行四段の命令形と已然形とにあらわれて来ますから、「ケ」の甲乙二類の別も、やはりカ行の中での段の違いであろうと考えられます。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
「家」はケの甲類に「気」は乙類に属するのでありますが、「鳴く」は四段活用で「なけば」は已然でありますから、その「け」には乙類の「気」を使った方が正しいときめることが出来ます。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
しかしもがくことは已に精進の形ではないか。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
それは已に彼の手の中にある。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫