炉裏
ろうら
名詞
標準
文例 · 用例
お松の母は母を囲炉裏端へ連れて行った。
— 伊藤左千夫 『守の家』 青空文庫
お松が自分をおぶって、囲炉裏端へ上った時に母とお松の母は、生薑の赤漬と白砂糖で茶を飲んで居った。
— 伊藤左千夫 『守の家』 青空文庫
から鮭も空也の痩も寒の内 雲水に似た旅人芭蕉も、時には一定の住所に庵を構えて、冬の囲炉裏を囲みながら、侘しく暮していたこともある。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
その頃です、僕が囲炉裏の前で、 あえかな夢をみますのは。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
囲炉裏に榾をさしくべ、岩魚の串刺にしたやつを炙りながら、山林吏が、さっき捨てた土饅頭は何だね、と案内の猟師に訊ねる、旦那、ありゃ飛騨の御大名の墳で、と右の一伍一什をうろ覚えのままに話す、役人は、そんな由緒のあるものと知ったら、何とか方法もあったものをと口惜しそうな顔をした。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
翌くる日は穂高岳に上るつもりで、朝|夙く起きた、宿の女が「飯が出来やしたから、囲炉裏の傍でやって下せえ、いけましねえか」と、畏る畏る閾越しに伺いに来る、いいとも、と返辞して大囲炉裏の前に、蝋燭を立て、猟士や宿の人たちと、車座になって飯を済ます、準備も整って出かけると、雨になった。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
沢庵漬の重石程な岩石の破片が数町離れた農家の屋根を抜けて、囲炉裏へ飛び込んだ。
— 葉山嘉樹 『坑夫の子』 青空文庫
その夜は、囲炉裏の自在鍵には鍋がかかつてゐなかつた。
— 葉山嘉樹 『氷雨』 青空文庫