今日この頃
きょうこのごろ
表現
標準
these days
文例 · 用例
「不味いものを食うくらいならいっそ、くたばった方がいい」 これは、美味のないとき、膳の上の食品を罵倒する敬蔵の云い草だが、ひょっとすると、それが辛辣な事実で父娘の身の上の現実ともなりかねない今日この頃では、敬蔵もうっかり自分の言葉癖は出しにくかった。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
ところが、今日この頃は、ガソリンの統制で、人力車を利用する客もふえて来たのを倖い、「世の中てほんまにうまいことしたアる」 と、喜んで、また俥をひいて出ていたのだった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
しかし、夫の庄之助が今日この頃のように明けても暮れても寿子にかまけていて、礼子自身腹を痛めた弟や妹たちとはくらべものにならぬ位、寿子に熱中しているのを見ると、さすがに礼子はいい気はしなかった。
— 織田作之助 『道なき道』 青空文庫
ところが、今日この頃は、ガソリンの統制で、人力車を利用する客もふえて来たのを倖い、再び俥をひいて出ていたのだ。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
ことに、彼らは今日この頃、バブルから、身体内景の有様を新しく聞いていたので、腑分に対する宿望は、更に油が注がれたように燃えていた。
— 菊池寛 『蘭学事始』 青空文庫
さては奈良には、皐月も半ばを過ぎた今日この頃、いまだにこの紫の花が咲き残つてゐる事か。
— 薄田泣菫 『森の声』 青空文庫
しかし、まさか丸一年も経った今日この頃まで、こんなにおいがする筈はないと疑っていたが、この辺へ来て見るといかにも間違いないと思った。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
馬に就いては何等の知識も持たない伯五郎に、ゼーロンを競走馬と仕立てて抵当にするために、再びゼーロンを僕等の手から奪ひ返さうといふ計画を立ててゐる由を僕は知つてゐるのだが、いよいよ春の競馬季節も目睫に迫つた今日この頃に至つた折から焦眉の会議を開いてゐるのに相違なかつた。
— 牧野信一 『沼辺より』 青空文庫