蓮歩
れんぽ
名詞
標準
文例 · 用例
蓮歩を移す裾捌にはら/\とこぼるゝ風情、蓋し散る花のながめに過ぎたり。
— 泉鏡花 『当世女装一斑』 青空文庫
』と私を促しつゝ蓮歩を彼方へ移した。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
時しも一面の薄霞に、処々|艶あるよう、月の影に、雨戸は寂と連って、朝顔の葉を吹く風に、さっと乱れて、鼻紙がちらちらと、蓮歩のあとのここかしこ、夫人をしとうて散々なり。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
ダアクの操り人形然と妙な内鰐の足どりでシャナリシャナリと蓮歩を運ぶものもあったが、中には今よりもハイカラな風をして、その頃|流行った横乗りで夫婦|轡を駢べて行くものもあった。
— ――新文学の曙光―― 『四十年前』 青空文庫
水道の普及せるも、女の顏を美にする一因にあらずや』と云ふに、『水道の水は白粉とよく調和するかも知れず』と答へつゝ、客は二人なるに、藝者は一人のみなるかと、目を園の一方に移せば、居るは/\、桃花の奧に、蓮歩を運ぶ一美形、※娜たる後姿のみ見えて、其の顏は見えざりき。
— 大町桂月 『小利根川の櫻』 青空文庫
転寝の夢路に人の逢ひにこし蓮歩のあとを思ふ雨かな とてもむつかしい歌で私にはよく分らないが、こんな風にとけるかもしれない。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
極楽鳥のめでたきとは うたたねの夢路に人の逢ひにこし蓮歩のあとを思ふ雨かな であり 春の磯恋しき人の網もれし小鯛かくれて潮けぶりしぬ であり 来鳴かぬを小雨降る日は鶯も玉手さしかへ寝るやと思ふ であり 恋人の逢ふが短き夜となりぬ茴香の花橘の花 である。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
嫋々として女の如く、少し抜いた雪のえり足、濡羽いろの黒髪つやつやしく、物ごし柔しくしずしずと練ってゆく蓮歩!
— 三上於兎吉 『艶容万年若衆』 青空文庫