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転動

てんどう
名詞
1
標準
文例 · 用例
たゞ、それ程あつさりした間柄と思つてゐた男を、あの体臭ぐるみ他人に独占されたとなると、むら/\と苦痛に絶する焔が肉体の内部を転動させて、長年鍛へた魂の秩序も、善悪の判断も、芸術への殉情も一挙に覆りかけるとは――。
岡本かの子 花は勁し 青空文庫
御覧なさいまし、大阪の大火、青森の大火、御承知でありましょう、失火の原因は、皆この洋燈の墜落から転動(と妙な対句で)を起しまする。
泉鏡花 露肆 青空文庫
「李幕事の訴えによって、その方が邵大尉の庫の中の金を盗んだ盗賊と定まった、後の四十九錠の金はどこへ隠した、包まずに白状するがよかろう」 捕卒がふみこんできた時から、もう気が転動して物の判別を失っていた許宣は、邵大尉庫中の盗賊と言われて、はじめて自分に重大な嫌疑のかかっていることを悟った。
田中貢太郎 雷峯塔物語 青空文庫
自分は、二人を殺したことを、悪いことと思えばこそ、殺すことに気も転動して、女がその頭に十両にも近い装飾を付けていることをまったく忘れていた。
菊池寛 恩讐の彼方に 青空文庫
そしてその大きなカップ状の水銀槽にささえ浮められた大ランプの台枠の縁には、回転式灯台特有の大きな歯車が仕掛けてあるのだが、その歯車に連なる精巧な旋回装置は無残にも粉砕されて、ランプの回転動力なる重錘を、塔の中心の空洞につるしているはずのロープは、もろくも叩き切られていた。
大阪圭吉 灯台鬼 青空文庫
それから、怪人とわが地球人類の交歓の段取を編集し、これを一連の映画に撮影したものを多数こしらえ、映写機及びその回転動力とをつけて荷造りしたものを数百台用意し、これをかの怪人城塞の近くに投下させることにした。
海野十三(丘丘十郎) 地球発狂事件 青空文庫
又市は横面を打たれるとべったり顔に泥が付いたが、よもや斯ういう者が出ようとは思わぬ所だから、是れに転動したと見え、ばら/\/\/\と横手へ駈出した。
三遊亭圓朝 敵討札所の霊験 青空文庫
即ち明治三十年早々から明治四十年にかけて、この言葉が、盛んに転動しながら、澎湃とうごめくありようを、文献の陰に、目に見るようである。
木村荘八 ハイカラ考 青空文庫