居るない
いるない
動詞
標準
文例 · 用例
私がさっきほんとに情なくなってと言ったら、政夫さんは笑っておしまいなしたけど……」 面白く遊ぼう遊ぼう言うても、話を始めると直ぐにこうなってしまう。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
膚の細い、黄い石や、黒い石の上を辷ると、思いなしか、沈んだ、冴えた声をして、ついと通る。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
かくして、イヒチオールはそれが、その本来塗らるべきところであろうと、または、傷をなして赤い肉の出たところであろうと、出血しているところであろうと、おかまいなしに塗りたくられた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
僕に愛された人は、みんな、だいなしになってしまうということ。
— 太宰治 『秋風記』 青空文庫
そして、思いなしか、眼の光にも曇りが出来て、何となしに憔悴した表情がこの人の全外容に表われているのであった。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
何は措ても、余所ながら真砂町の様子を、と思うと、元来お蔦あるために、何となく疵持足、思いなしで敷居が高い。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
これが、不思議に客人の気を悪くして、入相の浪も物凄くなりかけた折からなり、あの、赤鬼青鬼なるものが、かよわい人を冥土へ引立てて行くようで、思いなしか、引挟まれた御新姐は、何んとなく物寂しい、快からぬ、滅入った容子に見えて、ものあわれに、命がけにでも其奴らの中から救って遣りたい感じが起った。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
かけかまいなしで、電話の仮声まじりか何かで、(やあ、和尚さん、梅の青葉から、湯気の中へ糸を引くのが、月影に光って見える、蜘蛛が下りた、) と大気※じゃ。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫