撫下
撫下
名詞
標準
文例 · 用例
」 と、かよわい腕を撫下ろす。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
老爺は己が面を、ぺろりと一つ撫下げた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
二人はホッと胸を撫下した。
— 中島敦 『妖氛録』 青空文庫
兎にかく市郎の身に恙なかったのは何よりの幸福であったと、お葉は安堵の胸を撫下すと同時に、我が眼前に雪を浴びて、狗児のように跼まっている重太郎を哀れに思った。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
「はあ、どういふ御話ですか」 彼は長き髯を忙く揉みては、又|頤の辺より徐に撫下して、先打出さん語を案じたり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
」 森田氏は履刷毛で鼻先を撫下されたやうな顔をした。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
成程東京のもひどいにはひどいが……」樺島氏は同じやうな事を言つて、同じやうに鼻の先を撫下した。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
墓参りもし、法事も済み、わざとの振舞は叔母が手料理の精進で埒明けて、さて漸く疲労が出た頃は、叔父も叔母も安心の胸を撫下した。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫