荻原
おぎわら
名詞
標準
文例 · 用例
伝説に依ると、水内郡荻原に、伊藤|豊前守忠縄というものがあって、後堀河天皇の天福元年(四条天皇の元年で、北条|泰時執権の時)にこの山へ上って穀食を絶ち、何の神か不明だがその神意を受けて祈願を凝らしたとある。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫
『秋を契れる』はただ私をおからかいになっただけなのですか」 などと尼君を恨めしそうに言い、松虫の声をたづねて来しかどもまた荻原の露にまどひぬ と歌いかけた。
— 手習 『源氏物語』 青空文庫
又珍らしいことに荻原守衛も来会した。
— 木下杢太郎 『パンの会の回想』 青空文庫
荻原英一……『貝殻山の崖』は崖の断面の貝殻層を描いたものでテーマは珍らしく面白いが、題がついてゐるから貝殻と見えるものゝ題がなければ貝殻とは見ることが不可能である。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
荻原の場合もつとリアルに(観る者に親切さを出して)描いてくれたら、もつと涯かに高度に、断層に幾世紀を経た貝殻の存在、曾つて海であつた処が山になつたといふ時間的な不思議な自然の摂理を語る絵ができたであらうと思ふ。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
一年先輩にのちに俳句の上での師匠格となる荻原井泉水がいた。
— 尾崎放哉 『尾崎放哉選句集』 青空文庫
幡ヶ谷に住んでいた三好七郎と云う人の許へ、荻原高三郎と云う知人が避難して来て、一月ばかり厄介になっていて他へ移って往ったが、移って往く時、「大事の書類が入れてあるから、すまないが預っておいてもらいたい」 と云って、高さ三尺位の箱を置いて往ったので、三好の方ではそれを壁厨へ入れておいた。
— 田中貢太郎 『位牌と鼠』 青空文庫
そして、次郎は夜になると、「何人か来た」 と云って飛び起きたり、突然、「わっ」 と云って叫んだりするので、留は気が注いて、荻原から預っていた彼の箱を開けてみた。
— 田中貢太郎 『位牌と鼠』 青空文庫