酔心
よいこころ
名詞
標準
文例 · 用例
可い塩梅な酔心地で、四方山の話をしながら、螽一ツ飛んじゃ来ない。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
帰りがけに、大門前の蕎麦屋で一酌傾け、思いの外の酔心に、フト思出しましたは、老人一|人の姪がござる。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
しっとりと腕に重い、この魚のようにはつらつとした肉体の圧迫に、私は酔心地どころではなかった。
— 太宰治 『断崖の錯覚』 青空文庫
すると、不思議に、女は顔蒼ざめさせ体は慄えながら一種の酔心地とならざるを得なかった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
船の進むにつれて最早気味悪き音はやんで動揺はようやく始まりて早や胸悪きをじっと腹をしめて専ら小説に気を取られるように勉むればよう/\に胸静まり、さきの葡萄酒の酔心。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
境の話を聞くうちは、おでん燗酒にも酔心地に、前中、何となく桜が咲いて、花に包まれたような気がしていたのに、桃とも、柳ともいわず、藤、山吹、杜若でもなしに、いきなり朝顔が、しかも菅笠に、夜露に咲いたので、聞く方で、ヒヤリとした。
— 泉鏡花 『白花の朝顔』 青空文庫
俺は大分醒めた酔心地にぶらぶらと墓地をたどつた。
— 村山槐多 『悪魔の舌』 青空文庫
灘の生一本は何ともいへない醇酒だつた、さつそく一本頂戴した、酔心地のこまやかさ。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫