恩讐
おんしゅう
名詞
標準
love and hate
文例 · 用例
けれども、恩讐記と題して、讀者の下等な好奇心を滿足させる爲に、多少ゴシツプめいた材料などを交錯させて神妙に五、六枚にまとめ上げるのが、作家の義務であるのなら、作家は衰弱するばかりである。
— 太宰治 『大恩は語らず』 青空文庫
當初|御萱堂不幸之|砌、存寄らざる儀とは申ながら、拙者の身上共禍因と連係候故、報謝の一端にもと志候御世話も、此の如く相終候上は、最早債を償ひ劵を折候と同じく、何の恩讐も無之、一切|事濟と看做候て宜かるべしと存候。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
大正八年の正月に「恩讐の彼方に」を書いた。
— 菊池寛 『世に出る前後』 青空文庫
茫々五百年、恩讐|両つながら存せず。
— 大町桂月 『秋の筑波山』 青空文庫
菊池寛の「屋上の狂人」と「恩讐の彼方に」そして、「忠直卿行状記」は、作品を貫く人生への態度がそれぞれに相反した本質のものであった。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
「恩讐の彼方に」は人間的行為の純粋な理想への憧憬を示し、「忠直卿行状記」では人間関係の、社会的地位に害されない真実さが求められた。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
遠く見下ろされる町々の灯、そこに欺き合い、背き合いつつ生活している恩讐の世界があろうとは、どうしても思われないのである。
— 九条武子 『六甲山上の夏』 青空文庫
何時となく思ひ上がれる我ならん君も仇も憎からぬかな 人間も漸く成熟すると斯ういふ境地に立つ、即ち恩讐一等の境地である。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫