温かい
あたたかい
形容詞
標準
文例 · 用例
「すべての温かいもの、すべての愛は円か楕円かの形をもち、螺旋状その他の曲線を描いてゆく。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
故に彼等の認識は、知的に冷徹した認識でなく、感情の温かい靄の中で、いつも人懐かしげに霞んでいる。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
前章に述べたように、主観主義者の観照は、常に感情と共に働き、感情の中に融化しており、主観と分離して考えられないところの、情趣の温かいものである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
彼の顔の表情には私がこれまで見たあらゆる乞食に見られない柔らかく温かいある物があった。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
しかしおそらくそんな生温かい享楽のためではなくて、これもまたもっとせっぱつまった生存の権利を主張するために何かを期待して狙っていたに相違ない。
— 寺田寅彦 『蜂が団子をこしらえる話』 青空文庫
落寞たる冷たいこの部屋の中が温かい住心地のよい所に思われた。
— 寺田寅彦 『病中記』 青空文庫
ある日曜日の朝顕著な不連続線が東京附近を通過していると見えて、生温かい狂風が軒を揺がし、大粒の雨が断続して物凄い天候であった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
山下氏のでも梅原氏のでも、近頃のものよりどうしても両氏の昔のものの方が絵の中に温かい生き血がめぐっているような気がするのである。
— 寺田寅彦 『二科展院展急行瞥見記』 青空文庫