女名前
おんななまえ
名詞
標準
female name
文例 · 用例
いくつかの送別の手紙の中に、見知らぬ女名前の手紙があった。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
さればこれなる彫金、魚政はじめ、此処に霊魂の通う証拠には、いずれも巡拝の札を見ただけで、どれもこれも、女名前のも、ほぼその容貌と、風采と、従ってその挙動までが、朦朧として影の如く目に浮ぶではないか。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
わたくしはこの寮へ移るとき葛岡にわたくしのこの寮へ乗り込む企劃を手紙で報らせ、但し、むこうからの打合せの手紙は単に要領だけのことを書いて寄越して而かもこちらの許すまでは女名前の匿名で送って欲しいと、そのくらいにまで池上の思惑をおもんぱかって言ってやりました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
船板塀をした二階家があって、耳門にした本門の簷口に小さな軒燈が点り、その脇の方に「山口はな」と云う女名前の表札がかかっていた。
— 田中貢太郎 『水魔』 青空文庫
江崎とみ、と女名前、何でも持って来いという意気|造だけれども、この門札は、さる類の者の看板ではない、とみというのは方違いの北の廓、京町とやらのさる楼に、博多の男帯を後から廻して、前で挟んで、ちょこなんと坐って抜衣紋で、客の懐中を上目で見るいわゆる新造なるもので。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
男が女文字の女名前、女が男文字の男名前なぞいうのは古手で、この頃は邦文タイプライターを利用するのもある。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫
中積船が来たら托送しようと、同じ苗字の女名前がその宛先きになっている小包や手紙が、彼等の荷物の中から出てきた。
— 小林多喜二 『蟹工船』 青空文庫
書き終えた原稿を封筒に入れ、表を出鱈目な女名前にして、ラヴ・レターに仕立て、七時四十分に家を出た。
— 小林多喜二 『党生活者』 青空文庫