漂わす
ただよわす
動詞-五段-サ行動詞-他動詞
標準
to set adrift
文例 · 用例
その影をゆるく漂わす夜風が生温く流れて、縁先に酔いざめの顔を吹かせていた播磨の袖の上に、月の雫かと思うような白い花びらをほろほろと落した。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
円朝の話術がいかに巧妙でも、今日のように電燈煌々の場内では、あれだけに幽暗の気分を漂わすことが出来なかったかも知れないと察せられる。
— 岡本綺堂 『寄席と芝居と』 青空文庫
全く白鳥という人は、世間並より或はずっとよく、そして巧に享楽もしつつ、退屈げな顔つきを日常の間にも作品の中にも漂わす作家なのであろう。
— ――横光氏の「厨房日記」について―― 『「迷いの末は」』 青空文庫
しかしね、伊達が佐田やす子を脅かす程の力をもつていると君は信ずるのかい」 藤枝はエーアシップの煙を室一杯に漂わすのだつた。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
その日は前夜から雪が降りつづけて、窓の外にさし出ている雨天体操場の屋根などは、一面にもう瓦の色が見えなくなってしまったが、それでも教室の中にはストオヴが、赤々と石炭の火を燃え立たせて、窓|硝子につもる雪さえ、うす青い反射の光を漂わす暇もなく、溶けて行った。
— 芥川龍之介 『毛利先生』 青空文庫
肉付き豊かな大きな顔に、ロイド眼鏡をかけ、口髭をたくわえ、そして蓬髪、とこう書けば、なんだか寄りつきにくい人のようにも見えるけれど、知人を認めるとすぐに、如何にも嬉しげな笑みを浮べ、なつかしげな眼色を漂わすところ、まさに心平さんなのである。
— 豊島与志雄 『「草野心平詩集」解説』 青空文庫
僅かに口辺に漂わす一、二辺の微笑みから覗かれる、底の知れぬ偉大な力の海が冬子に押し迫る。
— 地に潜むもの 『地上』 青空文庫
藍色を漂わす大空にはまだ消えやらぬ薄靄のちぎれちぎれにたなびきて、晴れやかなる朝の光はあらゆるものに流るるなり。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫
作例 · 標準
彼は香水を使い、周囲に華やかな香りを漂わしている。
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その映画は、全編を通してどこか退廃的なムードを漂わせていた。
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ベランダで煙草をくゆらせ、紫煙を夜風に漂わせた。
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