茴香
ういきょう異読 ウイキョウ
名詞
標準
fennel (Foeniculum vulgare)
文例 · 用例
――おや、茴香の匂いがするよ。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
ベッシェール夫人はほの/″\とした茴香の匂の中で、すっかり酔って居る。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
……ああ見まもれどおもむろに悩みまじろふ色の陰影それともわかね……熱病の闇のをののき……Hachisch か、酢か、茴香酒か、くるほしく溺れしあとの日の疲労……縺れちらぼふWagner の恋慕の楽の音のゆらぎ耳かたぶけてうち透かし、在りは在れども。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
瘋癲院の陰鬱に硝子は光り、草場には青き飛沫の茴香酒冷えたちわたる。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
そがもとに噴水のむせび濡れ濡れて薄闇に入る……空気は重し……なほ赤し……黄に……また緑……いつしかに蒸汽の鈍き船腹のごとくに光りかぎろひし瘋癲院も暮れゆけば、ただ冷えしぶく茴香酒、鋭き玻璃のすすりなき。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
曇日の色なき街は清水さす石油の噎、轢かれ泣く停車場の鈴、溝の毒、昼の三味、鑢磨る歌、茴香酒の青み泡だつ火の叫、絶えず眩めく白楊、遂に疲れてマンドリン奏でわづらふ風の群、あなあはれ、そのかげに乞食ゆきかふ。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
茴香酒のごときひとすぢつと引きつ、切りつ、忘れつ。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
黄色、黄色、意気で高尚で、しとやかな、茴香のいろ、卵いろ、「思ひ出」のいろ、好きな児猫の眼の黄いろ、浮雲のいろ、ほんにゆかしい三味線の、ゆめの、夕日の、音の黄色。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
作例 · 標準
例句