鬢掻き
びんかき
名詞
標準
文例 · 用例
二十七 正月の十五日過ぎに、お庄は肩にショールをかけ、銀杏返しに白い鬢掻きなどをさして奥山で撮った手札形の自分の写真と、主婦や母親、女中に半襟や櫛のようなものを買って、湯島の方へ訪ねて来た。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
」 呼びとめた男は、藍みじんの粋な単衣に角帯をしめ、油じみた桐箱を手にさげて、まげの先に一本の鬢掻きを挿していました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
次には櫛なり、差櫛、梳櫛、洗櫛、中櫛、鬢掻、毛筋棒いづれも其一を掻くべからず。
— 泉鏡花 『当世女装一斑』 青空文庫
)お沢 (箒を堂の縁下に差置き、御手洗にて水を掬い、鬢掻撫で、清き半巾を袂にし、階段の下に、少時ぬかずき拝む。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
」 おくみは鬢掻へ洗面器の水をつけて、柱の鏡に覗いて髪を掻き上げた。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
――くみちやん一寸|鬢掻を貸して頂戴な。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
細い黄楊の鬢掻を両方の耳の上に差した。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
鬢掻の脚で、耳の裏を撫でつけながら、(あの馬鹿亭主、いいあんばいに、出たっきり帰って来そうもない。
— 吉川英治 『松のや露八』 青空文庫