莞
ふとい
名詞
標準
文例 · 用例
おのぞみどおり 博士は莞爾と笑いました。
— 太宰治 『愛と美について』 青空文庫
いいえ、莞爾どころではございませぬ。
— 太宰治 『愛と美について』 青空文庫
カバレット・バビロンの白煉瓦の高層な建物から流れるワルツの曲が街角に直立した赤い帽子の印度巡査をモスモロスの道化役者風にしたててバビロンの入口の廻転ドアの前に金モールのいかめしい英国人の門衛が莞爾とした笑いをたたえている。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
水上さんがこれを聞いて、莞爾して勧めた。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
」 と女が莞爾して言った。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
ここで桐の箱も可懐しそうに抱しめるように持って出て、指蓋を、すっと引くと、吉野紙の霞の中に、お雛様とお雛様が、紅梅白梅の面影に、ほんのりと出て、口許に莞爾とし給う。
— 泉鏡花 『雛がたり』 青空文庫
」 と莞爾した、その唇の紅を染めたように、酸漿を指に取って、衣紋を軽く拊ちながら、「憎らしい、お源や…………」 来て御覧、と呼ぼうとして、声が出たのを、圧えて酸漿をまた吸った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 目配せをすると、お源は莞爾して俯向いたが、ほんのり紅くした顔を勝手口から外へ出して路地の中を目迎える。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫