顔蒼
かおあお
名詞
標準
文例 · 用例
すると、不思議に、女は顔蒼ざめさせ体は慄えながら一種の酔心地とならざるを得なかった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
十三 走馬燈 無慙やなお藤は呼吸も絶々に、紅顔蒼白く変りつつ、苛責の苦痛に堪えざりけん、「ひい、殺して下さい殺して。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
沢の螢一 二 三野寺の鐘が鳴る顔蒼白き旅人よ野寺の鐘は野に響く蜻蛉は沼の藻の花に露は草木の葉に降つた沢の螢は皆燃える。
— 野口雨情 『別後』 青空文庫
寝乱れ姿のしどけなく顔蒼ざめた様子も、名打ての美形だけあって物凄いくらい。
— 三つの足跡 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
間もなく侍女に案内されて、素足の指に血などにじませ、かむって来たらしい被衣を手に持ち、髪を乱し顔蒼ざめた早瀬が、ソワソワした様子ではいって来た。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
顔蒼褪め眼落ち窪み、髪はほぐされて束ねられている。
— 国枝史郎 『血煙天明陣』 青空文庫
「おい、見に行こう」 一同がうち連れて独房の前に立つと、薄暗い不潔な箱の中で、支倉が顔蒼ざめて手足をバタバタさせながら呻吟していた。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
たしかに、そちの倅、滝口経俊が射た箭であるまいか」 老母はぎくとしたように、顔蒼ざめておののいた。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫