嫋やか
たおやか
形容動詞
標準
graceful
文例 · 用例
彼処に、尾花が十穂ばかり、例のおなじような兀げた丘の腹に、小草もないのに、すっきりと一輪咲いて、丈も高く莟さえある……その竜胆を、島田髷のその振袖、繻珍の帯を矢の字にしたのが、弱腰を嫋やかに、白い指をそらして折って取った。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
「虚無でなければ無限絶対でないにしても嫋やかで魅力が無ければ僕たち人間には訴えて来ません」 規矩男の云うことはだんだん独語的になって、何の意味か、かの女にも判らなくなって来た。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
紺サージの布地を通して何ものかを尋ね迫りつつ尋ねあぐんでいる心臓の無駄な喘ぎを感ずると、何か優しい嫋やかなものに覆い包んで、早くこの若者を靉靆とした気持にさせてやりたい薄霧のような熱情が、かの女の身内から湧きあがった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
五時過ぎて暮ちかき夏の日は血に染みし呼鈴の声のごとくふりそそぎ、嫋やかなる風は蜜蜂の褐色に、蜜蜂のつぶやきはかろく花粉を落す。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
四十三年七月 心中あはれなる心中のうはさよりわが霊は泣き濡れてかへりゆく、花つけしアカシヤの並木のかげを、嫋やかなる七月のおとづれのごとく。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
あはれなる心中のうはさよりわが霊は泣き濡れてかへりゆく、微風の吹くままに過ぎゆく嫋やかなる七月のおとづれのごとく。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
無精で呑気で仇気ない愛嬌があって、嫋やかな背中つきで、恋心に恍惚しながら、クリストフと自分との部屋の境の扉を一旦締めたらもう再び開ける勇気のなかったザビーネ。
— 宮本百合子 『アンネット』 青空文庫
緑の怒濤のように前後左右で吼え沸き立つのはよいとして、異様な動悸を打たせるのは、竹は嫋やかだからその擾乱の様がいやに動的ぽいことだ。
— 宮本百合子 『雨と子供』 青空文庫
作例 · 標準
彼女の嫋やかな所作は、見ている人を穏やかな気持ちにさせる。
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春風に揺れる柳の枝は、まるで嫋やかな女性の腕のようだった。
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着物姿の彼女が歩く様子は、非常に嫋やかで美しかった。
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