遣り方
やりかた
名詞
標準
文例 · 用例
事柄は小さなようでも電車切符の穴調べも遣り方によっては市民の頭の中に或るものをつぎ込み、その中から或るものを取り去るような効果がないとは限らない。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
そういう遣り方が写真として不都合であっても絵画としてはそれほど不都合な事ではないという事が初めから明らかに理解されている証拠である。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
兄さんも、どんなにか妙子さんを好いていると見えて、一体が遊蕩過ぎる処へ、今度の事じゃ失望して、自棄気味らしいのよ、遣り方が。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
その癖に医者は嫌いで、薬は廉いで有名な八丁堀の薬屋というのへ容態を話して売薬を買って来るという下町の旧弊女その儘の遣り方でした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
「この社をやめて他の会社の社員になりながら、行きがけの駄賃に女を撲って行くなんてわが社の威信を踏み付けにした遣り方だねえ。
— 岡本かの子 『越年』 青空文庫
そしてそれを免れる遣り方も彼には判っていた。
— 岡本かの子 『とと屋禅譚』 青空文庫
紋床は顔を斜に、ばりかんに頬をつけて、ちょいと撓めて、「馬鹿をいいねえ、お前と同一にされて耐るもんか、人情は異らないでも遣り方が違ってらあな、おい、こう見えても母親にゃまだ米の値を知らせねえんだが、どうだ。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
先づそこから出立して考へて見ることを敢てしないで、いきなり幸島の偽闕、平親王呼はり、といふところから不届至極のしれ者とされゝば、一言も無いには定まつて居るが、事跡からのみ論じて心理を問は無いのは、乾燥派史家の安全な遣り方であるにせよ、情無いことであつて、今日の裁判には少し潤ひがあつて宜い訳だ。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫