好人
こうじん
名詞
標準
文例 · 用例
平顔の目の小さいくちびるの厚い、見たとおりの好人物、人と話をするにかならず、にこにこと笑っている人だ。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
日本の写実小説は、レアリズムというべきでなく、もっと好人物的なる、俳句的観照本位のものである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
それが如何にも百姓らしく、純朴な好人物を感じさせた。
— 萩原朔太郎 『追憶』 青空文庫
今の君は、もはや何人の眼に於ても、森林から出てきた原人ではなく、却つて教養あり、禮節あり、そして典雅の趣味を愛する所の、一個品性高き風韻の好人物である。
— 萩原朔太郎 『室生犀星に與ふ』 青空文庫
お父さんみたいなひとを、好人物、というんじゃないかしら。
— ―――三幕 『冬の花火』 青空文庫
そして、この好人物らしい老人が、若しや不幸な、慘酷な運命の渦卷の中に呻いてゐる故國から心を破られ、住む家を追はれて寂しく流浪して來た不幸な人達の一人ではないかと思つた時、自分の心なき問の詞を悔いずにはゐられなかつた。
— 南部修太郎 『霧の夜に』 青空文庫
)七左 おふくろどの、主がような後生の好人は、可厭でも極楽。
— ――其一幕―― 『錦染滝白糸』 青空文庫
チエホフの芝居にも、ひとりの気のきかない好人物が、「あわや、というまに熊は女を組み伏せたりき。
— 太宰治 『春の盗賊』 青空文庫