鬢櫛
びんぐし
名詞
標準
文例 · 用例
柳の葉の散る頃は、――続いて冬枯の二日月、鬢櫛の折れたる時は――一口か一挺か五十五――「露地の細路駒下駄で。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
さあ、氣に成ると心配は胸へ瀧の落ちるやうで、――帶引緊めて夫の……といふ急き心で、昨夜待ち明した寢みだれ髮を、黄楊の鬢櫛で掻き上げながら、その大勝のうちはもとより、慌だしく、方々心當りを探し※つた。
— 泉鏡花 『夜釣』 青空文庫
貴女様み気色に触る時は、矢の如く鬢櫛をお投げ遊ばし、片目をお潰し遊ばすが神罰と承る。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
さあ、気に成ると心配は胸へ滝の落ちるやうで、――帯引占めて夫の……といふ急き心で、昨夜待ち明した寝みだれ髪を、黄楊の鬢櫛で掻き上げながら、その大勝のうちはもとより、慌だしく、方々心当りを探し廻つた。
— 泉鏡花 『夜釣』 青空文庫
相馬山や、榛名富士や、烏帽子嶽や、鬢櫛山や、硯嶽や、掃部嶽や、湖をめぐりて、それ/″\秀容をあらはす。
— 大町桂月 『冬の榛名山』 青空文庫
榛名山とは、榛名湖をめぐる山彙の總稱にして、烏帽子、鬢櫛、硯、掃部、氷室、摺碓など、みな舊噴火口の外輪山なり。
— 大町桂月 『冬の榛名山』 青空文庫
割合すいていて、毛糸編の羽織みたいなものを着て、くずれた束髪にセルロイドの鬢櫛をさした酌婦上りらしい女が口をだらりとあけて三白眼をしながら懐手で膝を組んでいる。
— 宮本百合子 『乳房』 青空文庫
彼女は、今も鬢櫛で、濡れた後れ毛をかきあげながら云った。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫