慵
慵
名詞
標準
文例 · 用例
病床の作者の自愛を祈るあまり慵斎主人、特に一書を呈す。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
何時ごろであったろうか、病人のように慵い神経が、ふと電話のベルに飛びあがった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
しかし五六日もいると、この生活もやがて慵くなって来た。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
慵い体を木蔭のベンチに腰かけて、袂から甘納豆を撮んではそっと食べていると、池の向うの柳の蔭に人影が夢のように動いて、気疎い楽隊や囃の音、騒々しい銅鑼のようなものの響きが、重い濁った空気を伝わって来た。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
蒼白めたような頬に、薄い鬢の髪がひっついたようになって、主婦は今起きたばかりの慵い体をして、莨を喫っていた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
」と、廊下で自分を呼んでいる朋輩の慵い声がした。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
笹村はがらんとしたその楼の段梯子を踏むのが慵げであった。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
笹村はちょうどまた注射の後の血が溷濁したようになって、頭が始終重く慵かった。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫