幻辞.com

鉤形

かぎがた
名詞
1
標準
文例 · 用例
」太田ミサコは鉤形の鼻を鳴らして殺風景な部屋椅子に腰を下ろすと、埃のつんだ卓子に片ひじついて、「ほほ、それではバル・セロナ生れの伊達ものには見えないわ。
吉行エイスケ 女百貨店 青空文庫
「おう、」 と小法師の擡げた顔の、鼻は鉤形に尖つて、色は鳶に斉しい。
泉鏡花 妖魔の辻占 青空文庫
鉤形の硬嘴、爛々たるその両眼、微塵ゆるがぬ脚爪の、しっかと岩角にめりこませて、そしてまた、かいつくろわぬ尾の羽根のかすかな伸び毛のそよぎである。
北原白秋 木曾川 青空文庫
その次席が、ヴィオラ奏者のオリガ・クリヴォフ夫人であって、眉弓が高く眦が鋭く切れ、細い鉤形の鼻をしているところは、いかにも峻厳な相貌であった。
小栗虫太郎 黒死館殺人事件 青空文庫
屍体は寝衣の上に茶色の外套を羽織り、腰を奇妙に鉾立ててしゃがんだ恰好のまま上半身を俯伏しているが、両手は水牛の角のような形で前方に投げ出し、指は全部|鉤形に屈曲している。
小栗虫太郎 聖アレキセイ寺院の惨劇 青空文庫
麻痺が薄らいでいたと云う証拠には、腕が内側に捻れて指先が鉤形になっている。
小栗虫太郎 聖アレキセイ寺院の惨劇 青空文庫
また、それ以前に犯人は、繍仏の指の先に、隠現自在な鉤形をした兇器を嵌め込んで置いたのだが、その兇器は、その場限りで消え失せてしまったのだよ。
小栗虫太郎 夢殿殺人事件 青空文庫
高木ぎんの地所は本やや広い角地面であったのを、角だけ先ず売ったので、跡は崖に面した小家のある方から、団子坂上の街に面した方へ鉤形に残っている。
森鴎外 細木香以 青空文庫