此処ぞ
ここぞ
表現
標準
now is the (important) time
文例 · 用例
此処ぞと典六、T「身共も武士 次第に依っては 御助勢致す」 エッと喜んで雪枝、典六を見る。
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫
が、お先ばしりで、衆と一所に、草の径を、幻の跡を尋ねた――確に此処ぞ、と云う処に、常夏がはらはら咲いて、草の根の露に濡れつつ、白檀の蒔絵の、あわれに潮にすさんだ折櫛が――その絵の螢が幽に照った。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
雉は此処ぞと思って、「起きてください、火事です、火が燃えつきます、たいへんです」 と叫ぶと、来宮様はやっと眠りからさめかけた。
— 田中貢太郎 『火傷した神様』 青空文庫
或晩などは彼は、下検分のつもりで、オートバイを駆つて村を出はづれ、松の並木道を越え堤に添つて、此処ぞ!
— 牧野信一 『籔のほとり』 青空文庫
そんなわけだつたのなら自分もあの時花々しい荒武者になつて此処ぞと云はんばかりの腕を奮つてやれば好かつたものを!
— 牧野信一 『円卓子での話』 青空文庫
その見附からない間隙を漸やく見附けて、此処ぞと思えば、さて肝心のいうことが見附からず迷つくうちにはや人に取られてしまう。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
待侘びて独りで焦れていると、軈て目差すお糸さんが膳を下げに来たから、此処ぞと思って、極りが悪かったが、思切って例の品を呈した。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
つまり、羚羊と同じに、運動神経が痲痺して動けなくなったまでの事で、その眼は凝然と、怖ろしい殺人模様を眺めていたんだ」「冗談じゃない」検事は此処ぞと一矢酬いた。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫