閣
かく
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標準
文例 · 用例
果敢なき楼閣を空中に描く時、うるさしや我が名の呼声、袖、何せよ彼せよの言付に消されて、思ひこゝに絶ゆれば、恨をあたりに寄せもやしたる。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
そこで為政者は、人民の退屈感をまぎらすために、絶えず新しい事業を起し、内閣を更迭し、文化をひろめ、或いは種々のスポーツを奨励し、娯楽場や遊郭や公共浴場を設計する。
— 萩原朔太郎 『病床生活からの一発見』 青空文庫
閣に座して遠き蛙をきく夜|哉「閣」というので、相応眺望の広い、見晴しの座敷を思わせる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
砂の上に立てられた三十年の空しい樓閣――それは今跡方もなく一陣の嵐に頽れてしまつた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
ボオドレヱルは「自我崇拝閣下」と綽名された。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
然らばボオドレヱルは――ボオドレヱルのは、彼が彼自身の部屋に於ける、天才的狂爛の、それが対他するに際して、即ち狂爛が諦念の形式にまで置換されるに際して、その瞬間線上に於ける「自我崇拝閣下」であつたのだと、君が若しボオドレヱルを好きなら考へなければなるまい。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
右の方を仰ぐと、赤沢岳が無器用な円頂閣のように、幅びろく突ッ立って、その花崗岩の赤く禿げた截断面が、銅の薬鑵のような色をして、冷めたく荒い空気に煤ぶっている。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
まして大宮浅間の噴泉の美は、何とであろう、磨きあげた大理石の楼閣台※も、その庭苑に噴泉がなかったら、頓に寂寞を感ずるであろう。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫