訥
とつ
名詞
標準
文例 · 用例
※ とまれ不消化な複雑くらゐなら、馬鹿の朴訥の方がまだしもだと思ふと、暫時サツパリするだけでもましである。
— 中原中也 『よもやまの話』 青空文庫
さもなければ、無器用朴訥な愛嬌で助かる。
— 中原中也 『我邦感傷主義寸感』 青空文庫
彼は朴訥であるのでその隙ばかりみてゐて容易に名詞も形容詞も口にしようとはせぬ。
— 中原中也 『青年青木三造』 青空文庫
三田君は、戸石君と二人きりになると、訥々たる口調で、戸石君の精神の弛緩を指摘し、も少し真剣にやろうじゃないか、と攻めるのだそうで、剣道三段の戸石君も大いに閉口して、私にその事を訴えた。
— 太宰治 『散華』 青空文庫
肉体まずしく、訥弁である。
— 太宰治 『パウロの混乱』 青空文庫
その時、和田左衛門尉さまは、はつと平伏なさいましたきりで、額の皺に汗をにじませ、しばらくは何も言上できぬ御様子でございましたが、やがて、例の訥々たる御口調で、甚だ唐突に、故右大将家御挙兵以来の義盛さま御自身の十数度にわたる軍功を一つ一つならべ立てたのでございます。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
これを何と形容したら適当であるか、例えばここに饒舌な空談者と訥弁な思索者とを並べた時に後者から受ける印象が多少これに類しているかもしれない。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
饒舌の雄弁|固より悪くはないかもしれぬが、自分は津田君の絵の訥弁な雄弁の方から遥かに多くの印象を得、また貴重な暗示を受けるものである。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫