碁会
ごかい
名詞
標準
文例 · 用例
種畜場近郷の農家から、牛がすこしわるいからきてくれの、碁会をやるからきてくれのとしきりにいうてきたけれど、いっさい村落へでなかった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
―― 万世橋向うの――町の裏店に、もと洋服のさい取を萎して、あざとい碁会所をやっていた――金六、ちゃら金という、野幇間のような兀のちょいちょい顔を出すのが、ご新姐、ご新姐という、それがつい、口癖になったんですが。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
――町の、右の、ちゃら金のすすめなり、後見なり、ご新姐の仇な処をおとりにして、碁会所を看板に、骨牌賭博の小宿という、もくろみだったらしいのですが、碁盤の櫓をあげる前に、長屋の城は落ちました。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
……行暮れた旅人が灯をたよるように、山賊の棲でも、いかさま碁会所でも、気障な奴でも、路地が曲りくねっていても、何となく便る気が出て。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
「一人でやって行くなら、碁会所でも出したらどうだ。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
芳村が前からよく行きつけていた碁会所の娘と約束が出来て、そこへ荷物を持ち込んで引っ越すようになってから、お増がまた気を焦って、このごろでは磯野の手を離れて、芳村との関係が旧へ復ったとか、芳村がお増をどこかに隠しておくとかいうことだけは、糺の話でも解った。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
碁会所の若い娘と一緒に歩いている芳村の姿を、天神の境内で見たとき、お増は芳村に鼻を明かされたような気がした。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
質屋の暖簾だの碁会所の看板だの鳶の頭のいそうな格子戸作りだのを左右に見ながら、彼は彎曲した小路の中ほどにある擦硝子張の扉を外から押して内へ入った。
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫