弊履
へいり
名詞
標準
worn-out shoes
文例 · 用例
それであの親切な情誼の厚い田舎の人たちは切っても切れぬ祖先の魂と影とを弊履のごとく捨ててしまった。
— 寺田寅彦 『田園雑感』 青空文庫
そうして利用するだけ利用して最早使い手がないとなると弊履の如く棄ててかえりみないところに、彼の腕前のスゴサが常に発揮されて行くのである。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
老病死の解決を叫んで王者の尊を弊履のごとくに捨てられた大聖|釈尊は、そのとき年三十と聞いたけれど、今の世は老者なお青年を夢みて、老なる問題はどこのすみにも問題になっていない。
— 伊藤左千夫 『紅黄録』 青空文庫
寺田政明 この人はかうしたリアルな傾向で一時代、絵の技術的方面をやつたら、それこそ弊履を捨てるやうに斯うした傾向を捨てゝ、リアルな作風でゆくべきだ。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
官を棄つる事弊履の如しで……」「尚だ官に就かんのぢやないか。
— 内田魯庵 『貧書生』 青空文庫
沼南が大隈参議と進退を侶にし、今の次官よりも重く見られた文部|権大書記官の栄位を弊履の如く一蹴して野に下り、矢野文雄や小野梓と並んで改進党の三|領袖として声望隆々とした頃の先夫人は才貌双絶の艶名を鳴らしたもんだった。
— 内田魯庵 『三十年前の島田沼南』 青空文庫
忠直卿は、母君との絶えて久しき対面を欣ばれたが、改易の沙汰を思いのほかにたやすく聞き入れられ、六十七万石の封城を、弊履のごとく捨てられ、配所たる豊後国府内に赴かれた。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
そのために大衆小説は歌舞伎劇のような惰性的生命をもち得ないで、大衆の実質的興味が衰えるとともに弊履のようにすてておしまれないだろうという点だ。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫
作例 · 標準
長年の放浪の末に故郷へ戻ってきた彼の足元は、すっかり擦り切れた弊履に覆われていた。
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彼女はこれまで尽くしてくれた部下を、まるで弊履を捨てるかのようにあっさりと切り捨てた。
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富や名声など、真の悟りを開いた僧侶にとっては弊履のごときものに過ぎない。
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