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朽目

くちめ
名詞
1
標準
文例 · 用例
――紅地金襴のさげ帯して、紫の袖長く、衣紋に優しく引合わせたまえる、手かさねの両の袖口に、塗骨の扇つつましく持添えて、床板の朽目の青芒に、裳の紅うすく燃えつつ、すらすらと莟なす白い素足で渡って。
泉鏡花 貝の穴に河童の居る事 青空文庫
仮小屋一 楽屋なる居室の小窓と、垣|一重隔てたる、広岡の庭の隅、塵塚の傍に横わりて、丈三尺余、周囲およそ二尺は有らむ、朽目赤く欠け欠けて、黒ずめる材木の、その本末には、小さき白き苔、幾百ともなく群り生いたり。
泉鏡花 照葉狂言 青空文庫
」 萱の軒端に鳥の声、という侘しいのであるが、お雪が、朝、晩、花売に市へ行く、出際と、帰ってからと、二度ずつ襷懸けで拭込むので、朽目に埃も溜らず、冷々と濡色を見せて涼しげな縁に端居して、柱に背を持たしたのは若山|拓、煩のある双の目を塞いだまま。
泉鏡花 黒百合 青空文庫
べとりと一面|青苔に成つて、欠釣瓶が一具、さゝくれ立つた朽目に、大く生えて、鼠に黄を帯びた、手に余るばかりの茸が一本。
泉鏡花 雨ばけ 青空文庫
夏草は刈りはらはねば葺かずとも菖蒲よもぎに埋るる庵家は荒れておほしたてねど竹垣の朽目より咲くなでしこの花夏草にかくれて住めばいにしへの木の丸殿も思ひこそやれ蓮を植ゑて。
與謝野禮嚴 禮嚴法師歌集 青空文庫
「そして、そんな朽木が蕾の忍冬にその朽目を若々しさで蔽へと命ずる何の權利があらう?
ブロンテイ ジエィン・エア 青空文庫