奥秘
おうひ
名詞
標準
文例 · 用例
もし密教の大道理からいえば、荼枳尼も大日、他の諸天も大日、玄奥秘密の意義理趣を談ずる上からは、甲乙の分け隔てはなくなる故にとかくを言うのも愚なことであるが、先ず荼枳尼として置こう。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫
是の如くにして寂心の泣くこと三たびに及び、増賀は遂に寂心の誠意誠心に感じ、流石の増賀も増賀の方が負けて、それから遂に自分の淵底を尽して止観の奥秘を寂心に伝えたということである。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
読者よ、これ実に我等の生活の最も意義ある現示、この世の隠れたる源の泉より湧き出づる奥秘の声なるぞかし。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
わたしの生活の盛りは、空気をこえ、万象をこえ、水色の奥秘へひびく時である。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
さうしてこれらの家元がおのおの跋扈して自分の流儀に勿体を附け、容易に他人には流儀の奥秘を伝授せぬなどといふ事に成つて居る。
— 正岡子規 『病牀六尺』 青空文庫
いや、それもただ、そう云うものが御好きだったと申すばかりでなく、御自分も永年御心を諸芸の奥秘に御潜めになったので、笙こそ御吹きになりませんでしたが、あの名高い帥民部卿以来、三舟に乗るものは、若殿様|御一人であろうなどと、噂のあったほどでございます。
— 芥川龍之介 『邪宗門』 青空文庫
「まったくですよ……」と彼はつづけた、「現にあなたはしょっちゅう研究ばかりしている、海の奥秘を探り、強者と弱者を分類し、書物を著わし、決闘を挑んでらっしゃる。
— ДУЭЛЬ 『決闘』 青空文庫
すなわちいまその奥秘の種明かしをば、親しく師匠はして見せてくれたのだった。
— 正岡容 『小説 圓朝』 青空文庫