くし形
くしがた
名詞-の形容詞
標準
comb-shaped
文例 · 用例
さはいへ東京はその地勢河を帯にして海を枕せる都なれば、潮のさしひきするところ、船の上り下りするところ、一条二条のことならずして極めて広大繁多なれば、詳しく記し尽さんことは一人の力一枝の筆もて一朝一夕に能くしがたし。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
わたくしは、たゞ葛岡にこれを見せて遣り、それに突き付けてわたくしがたった一言いい度い言葉によって葛岡に何か激しい気象を起させ度いためでした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
更に進んで故人の肉を描き血を流動せしめて全人格を躍動せしめようとするには勢い内面生活の細事にまでも深く突入しなければならないから、生前の知友としてはかえって能くしがたい私情がある。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
われらが播種し、もしくは移植した艸木が、大地の生生の気に刺激せられ、化育せられて、艸は艸として、木は木としての生命の発展を遂げゆくのを見て、言語に言ひつくしがたい、甚深な感激と歓喜とに先づ心を躍らせる者は、誰よりも土に親しみ、手を汚してまでも種子を播いたもの、彼自らでなければならない。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
享和三年は文化紀元に先だつこと僅に一年ではあるが、わたくしがためには此小発見も亦重要である。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
滞留中何かと御懇意は申つくしがたく、これはいはぬはいふにまさると思召可被下候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
たび/\参候ていろ/\さしつかひ候御せわのだん申つくしがたく候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
真相を知らぬ人々の寄贈したおびただしい祝品のあるのを御覧になっても、この誤りを正しくしがたい心苦しさから恥ずかしくばかりおなりになる院であった。
— 柏木 『源氏物語』 青空文庫