届千
とどけせん
名詞
標準
文例 · 用例
不届千万じゃ」「よって――」「だ、黙れっ。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
「奈良崎、君公の御裁許も仰がず、濫りに私党を組んで、無届出奔に及ぶ段、不届千万、上意によって討取る」「そうか」 奈良崎が、足に敷いていた草履を蹴飛ばして、身構えすると同時に、草が動き、物音がして、人が、槍が、草叢の中から現れた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
大隅守は更に押返して、「その方、大切なる病の治療を頼みながら、全治の今日となって薬料支払を渋るとは不届千万、一身を売ってなりとも金子を調達せよ」と言うに、「仰せは畏って御座りますれど、何分にも悪病の事とて、雇われようにも雇い手これなく、誠に致方なき次第」と如何にも困り入った様子である。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
そもそも拙僧を秋水さんとは不届千万な小僧め。
— 坂口安吾 『朴水の婚礼』 青空文庫
寧ろ正が倒れ邪が蔓るのが今の世の常態で、正直で一生懸命に※いでも其日其日を喰ひ兼ねて居る者が更に思はぬ災難に遇ふこともあれば、横着至極不届千万なことをして、大金を儲けた者が、一生涯は素より、子や孫の代まで栄華に暮して居ることもある。
— 丘浅次郎 『人類の誇大狂』 青空文庫
そこで熱心なる出願人等は、遂に奉行所の投入箱へ願書を投げ入れるという最後の手段にまで出たので、八月四日奉行より、不届千万に候。
— 喜田貞吉 『特殊部落の人口増殖』 青空文庫
して何事じゃ」「はッ……唯今、溜りに控えた剣士方やご家中の若侍等が、みすみす勝った試合を引分けたるは不届千万と立腹して、十数人の決死組を仕立てて宮津方へ真剣で斬り込まんと殺気立っておりまする――早く、ご家老様のお声でお鎮め下さりませ」 いよいよ、事重大な成り行きとなった。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
近き堤臺には、子育地藏ありて、その名の如く、子育の御利益ありしが、いつしか、徴兵除けといふ不屆千萬なる御利益加はりて、可成り繁昌せし由也。
— 大町桂月 『春の郊外』 青空文庫