鋳銅
ちゅうどう
名詞
標準
文例 · 用例
それからひと月もたって、B教授の形見だと言ってN国領事から自分の所へ送って来たのは大きな鋳銅製の虎の置き物であった。
— 寺田寅彦 『B教授の死』 青空文庫
緑青をふいた殷の鋳銅器を置いた階段を登った所に、唐代の黄土の人形が並んでいた。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
」 階段の折目に並んだ殷の鋳銅の間で、東野の声がぴんぴんと響いた。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
マウパツサンの墓の上には桃葉衛矛と狗骨とを植ゑ、後の碑には名のみを太く書き、碑の前には開いた書物の形をした鋳銅の上に生歿の年だけを記したものが据ゑてあつた。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
〔欄外に〕 コルシュの手前のパルトニハ〔女裁縫師〕の家、階段の女がキューピットと遊んで居る鋳銅の首やなんかみんなとれて、四階のが一つだけのこって居る。
— 一九二八年(昭和三年) 『日記』 青空文庫
少なくともその時は銅貨を与えたのだと思っていた、やがて財布をあけて貨幣をしらべてみると、新鋳銅貨はそのままあって十円金貨が一枚無くなってるのを発見した。
— THE HONOUR OF ISRAEL GOW 『作男・ゴーの名誉』 青空文庫
足場には土がもられ、その上には鋳銅のすさまじい焔がひらめいている。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
紅白の幕が音もなく滑り落ちると同時に銅色の八雲肖像浮彫、白色の花崗石臺石、青白色の鑄銅天使群像より成る高さ一丈一尺の記念碑は高く噴水しつゝ現はれ、折から梅雨季の雲間を洩れる太陽の微光の裡に一脈の清爽味を漂はせ、暫く一同の拍手が鳴りやまなかつた。
— 土井八枝 『隨筆 藪柑子』 青空文庫