誦
誦
名詞
標準
文例 · 用例
長塚が始めて先生に逢った時、長塚は先生の俳句及び歌の、自分が面白く感じた数十首をことごとく記臆していてこれを暗誦したのには、先生も一驚を喫したそうで、一体長塚は記臆のよい男であるが、先生を慕うこと深くなければ、決してそんなことが出来るものでない。
— 伊藤左千夫 『正岡子規君』 青空文庫
『古事記』は、奈良朝の撰ではあるが、天武天皇の勅語を稗田阿礼が誦したものを太安万侶が筆録したもので、その言語は幾分古い時代のものであろうから、これに八十八音を区別したのは、奈良朝以前の音韻状態を伝えるもので、後にその中の一音が他と同音に変じて奈良朝では八十七音となったものと考えられる。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
『古事記』は天武天皇が稗田阿礼に伝誦させられたのを太安万侶が書いたものであります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
もし我等にして原始人の如く、また子供等の如く單純素樸であつたならば、必ずや聲をあげて詠誦し、この同一心像に屬する詩と旋律とを同時に一時に發想するであらう。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
久しぶりで故郷へ歸り、廣瀬川の河畔を逍遙しながら、私はさびしくこの詩を誦した。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
人の歌は誦さむに寒ういたいたし。
— 萩原朔太郎 『短歌』 青空文庫
またかの鉄道唱歌とか、地理の諳誦のためにされた新体詩とか、道徳や処世の教訓にされる和歌の類とかも、同様に形式上のみの韻文であって、実質上から詩というべく適切でない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
そして前者が、かの歴山大王やシーザアやの、古代の英雄によって愛誦され、彼等の少年時代に於て、早くそのヒロイックな権力感情を養成した時、後者はより民衆的な青年の間に読まれ、幾多のセンチメンタルな恋愛主義者を養成した。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫