退身
たいしん
名詞
標準
文例 · 用例
翌日、鴨川とか、千倉とか、停車場前のカフエーへ退身、いや、榮轉したさうである。
— 泉鏡太郎 『木菟俗見』 青空文庫
(これは大変なお方が来られた) こうわたしは呟きましたが、半僧半俗のそのお方が、前の尾張中納言様、ただ今はご隠居あそばされて、無念坊退身とお宣りになり、西丸に住居しておいであそばす、徳川宗春様であられるのですから、驚いたのは当然でしょう。
— 国枝史郎 『怪しの者』 青空文庫
それらのわが家に、今日は見も知らぬ他国のものを迎え入れ退身しなければならぬという。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
御退身の時の御手當てがあつた爲に、このやうに、豊かに暮してゐられます」 杵太郎の話は、いかにもはつきりしてをりました。
— 美少年國 『錢形平次捕物控』 青空文庫
こういうことが重なってゆき、だんだんに気まずくなり、(直接には藩の師範たちの策動も少しはあったが)ついに自らいとまを願って退身した。
— 山本周五郎 『雨あがる』 青空文庫
松平家を退身するときには、まだ小さな道具類は持っていたが、それも放浪ちゅうに残らず売ってしまった。
— 山本周五郎 『雨あがる』 青空文庫
「うちあけて申しますとね姉上さま、園部は高田藩から退身してまいりましたの」小松はひじょうな早口でそう云った、「……おいとまになったのではなく、こちらから願った退身ですの。
— 山本周五郎 『菊屋敷』 青空文庫
父の宗城伊十郎は越前家の勘定方に勤めていたが、重役に涜職問題が起こったとき、その責任を負わされて退身した。
— 山本周五郎 『月の松山』 青空文庫