黄な粉
きなこ
名詞
標準
文例 · 用例
ただ溪間にむくむくと茂っている椎の樹が何回目かの発芽で黄な粉をまぶしたようになっていた。
— 梶井基次郎 『蒼穹』 青空文庫
帰り着いてみるとお神さんは、又も西日がテラテラし出した裏口で、石の手臼をまわしながら、居ねむり片手に黄な粉を挽いていた。
— 夢野久作 『いなか、の、じけん』 青空文庫
黄な粉を引っくり返したまま、大砲のような音を立てて表口から飛び出した。
— 夢野久作 『いなか、の、じけん』 青空文庫
氷に黄な粉をかけたるは江戸の目には見も慣ず可笑ければ、京水と相目して笑をしのびつゝ、是は価をとらすべし、今ひとさらづゝ豆の粉をかけざるをとて、両掛に用意したる沙糖をかけたる削氷に、歯もうくばかり暑をわすれたるは珍しき事いはんかたなし。
— 鈴木牧之編撰 『北越雪譜』 青空文庫
みな、黄な粉にまぶされたやうな顏してゐる。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫
……ここに、信也氏のために、きつけの水を汲むべく、屋根の雪の天水桶を志して、環海ビルジングを上りつつある、つぶし餡のお妻が、さてもその後、黄粉か、胡麻か、いろが出来て、日光へ駆落ちした。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
黄粉をまぶして食ってみた。
— 黒島傳治 『外米と農民』 青空文庫
形は貝母に似て、暗緑帯紫の色、一つは咲いて花弁が六つ、黄粉を包んだ蘂が六つ、莟が一つ。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫