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芳芬

ほうふん
名詞
1
標準
文例 · 用例
二ノ池の方に廻る、池には石が座榻のように不規則に、水面に点じている、岸には淡紅の石楠花が水に匂う、蛇紋が掻き破られて、また岩魚が飛ぶ、石楠花の雫を吸っている魚だから、腸まで芳芬に染まっていないかとおもう。
小島烏水 梓川の上流 青空文庫
東向きの腰高窓には、もう冬といっていい十一月末の日が熱のない強い光を射つけて、アメリカから買って帰った上等の香水をふりかけた匂い玉からかすかながらきわめて上品な芳芬を静かに部屋の中にまき散らしていた。
有島武郎 或る女 青空文庫
やがて芳芬の激しい薬滴が布の上にたらされた。
有島武郎 或る女 青空文庫
激しい芳芬と同時に盥の湯は血のような色に変った。
有島武郎 小さき者へ 青空文庫
芳芬鼻を撲ちて、一朶の白百合大さ人面の若きが、満開の葩を垂れて肩に懸れり。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫
ひとり造化は富める者に私せず、我家をめぐる百歩ばかりの庭園は雑草雑木四時|芳芬を吐いて不幸なる貧児を憂鬱より救はんとす。
正岡子規 わが幼時の美感 青空文庫
白粉燒けのした、蒼黒い細面、口紅は少し濃く、長い眉、物を言ふのに唇を曲げるのは嫌味ですが、歩くと芳芬として裾風が匂ふのです。
闇に飛ぶ箭 錢形平次捕物控 青空文庫
旅姿も舞台へ出て来た名ある娘形のようで、汗にも埃にも塗れず、芳芬として腋の下から青春が匂うのです。
群盗 銭形平次捕物控 青空文庫