温泉旅館
おんせんりょかん
名詞
標準
inn with hot spring facilities
文例 · 用例
その石段の両側には、土産物の寄木細工を売る店や、かういふ町に適当な小綺麗の小間物屋や、舶来煙草を飾つた店や、中庭に廻廊のある二層三層の温泉旅館が、軒と軒とを重ね合せて、ごてごてと不規則に並んで居る。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
又兎も角も折角其家を目指して遙々遠方から尋ねて來た客を、どうしても收容し切れない場合なら、せめて電話で温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
反對側の、山の方へ向いた廊下へ出て見ると、此の山腹一面に築き上げ築き重ねた温泉旅館ばかりの集落は世にも不思議な標本的の光景である。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
H温泉旅館の前庭の丸い芝生の植え込みをめぐって電燈入りの地口行燈がともり、それを取り巻いて踊りの輪がめぐるのである。
— 寺田寅彦 『沓掛より』 青空文庫
――この温泉旅館の井菊屋と云うのが定宿で、十幾年来、馴染も深く、ほとんど親類づき合いになっている。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
こうなると、温泉宿も普通の旅館と同様で、文字通りの温泉旅館であるから、それに対して昔の湯治場気分などを求めるのは、頭から間違っているかも知れない。
— 岡本綺堂 『温泉雑記』 青空文庫
それにしても、今日の温泉旅館に宿泊する人たちは思い切ってサバサバしたものである。
— 岡本綺堂 『温泉雑記』 青空文庫
近来はどこの温泉旅館にも机、硯、書翰箋、封筒、電報用紙のたぐいは備えつけてあるが、そんなものは一切ない。
— 岡本綺堂 『温泉雑記』 青空文庫